地元産の食材を使用したイタリアンに合う日本酒を造る。
渡辺酒造店とGozaluの新たな挑戦です。

この日は、朝5:30からの酒造りに参加。その一部をお伝えします!

強すぎても、弱すぎてもいけないよ。良い麹になれよ、ってやるんだ

まずは、製麹の作業。だまになった麹米をほぐしていきます。

製麹とは…
お米を麹へと生まれ変わらせる工程。
「一麹、二酛、三造り」という格言があるように、酒造りにおいて最も重要と言われる工程でもある。製麹は床もみ→切り返し→盛り→仲仕事→仕舞仕事→出麹と進んでいく。

夜明け前にも関わらず、作業は阿吽の呼吸で行われる。

「強すぎても、弱すぎてもいけないよ。良い麹になれよ、ってやるんだ」

「これがお酒になるのかぁ…」

お米に触れながら、思わず感動してしまいます。また、その温もりからか、不思議と”愛おしさ”すら抱いてしまいます。

麹米がほぐれたら、麹室から順に移していきます。テキパキ動きながらも、一粒もこぼさないよう慎重に。

 麹室とは…
製麹専用の部屋のこと。麹菌の健全な繁殖を促すため、温度が約30〜40℃、湿度が約60%に保たれている。

鋭くも温かい蔵人たちの眼差し。造り手としての気概を感じる。

麹室の蒸し暑さと、麹米の温かさに、汗は止まりません。

それでも必死に作業を続けます。

渡辺酒造店の酒造りを統括する大杜氏・岡田喜栄治氏

朝一の作業を終えたところで、最初の休憩です。

この頃には日が昇り、すっかり明るくなっていました。

「大杜氏が食べ終わる前に、食べ終わってください」
蔵に根付く、蔵人たちの文化はいたるところにある。

朝食は全員で。もちろん、昼食も全員。

半年以上になる酒造りのあいだ、ほとんどの時間をともに過ごすからこそ、あの一糸乱れぬチームワークが生まれるのかもしれません。

1時間の休憩を経て、酒造り再開。
さあ蒸しあげた米を、運んでいきますよ。

使い終わった道具は、その都度綺麗に。蔵に歴史あれど、埃ひとつありません。

そういうことからやっていかなければ良い酒なんて、できないんです。

以前の記事で、「白麹を用いた日本酒を造る」というお話をしました。次の作業は、白麹を蒸米に振りかけていく作業です。

本来、麹室はとても繊細で、簡単に入れてもらえる場所ではありません。またほとんどの日本酒が、黄麹菌を用いて造られていることを考えると、この現場に立ち会えることはとても貴重なことですよね。

「すべての作業を丁寧に。米をどう思いながら触ったか、布一枚どう扱ったか、それが酒の味を左右することはないかもしれない。それでも、あらゆることに気を使ってやれるかどうかなんです。酒造りというものは、自然を相手にするんだから、そういうことからやっていかなければ良い酒なんて、できないんです」

北場杜氏の言葉と表情に、より一層空気は張り詰める。

種麹が満遍なく付着するよう、蒸米を混ぜていきます。つぶさないように。でも、一粒一粒に菌が行きわたるように。

十分に麹菌を馴染ませたら、熱を逃さないために蒸米を盛り上げ、布で包みます。

酒造りは化学だからね。

次は添仕込み。酒母に麹と仕込み水を加える作業です。

酒母とは…
蒸米・麹・水を混ぜ込み、酵母を培養したもの。

段仕込みとは…
酒母に麹・蒸米・水を複数の段階に分けて加えていく手法。三段仕込みが主流で、初添・仲添・留添と進んでいく。初添は”添”ともいう。

「酒造りは化学だからね。日によって温度も湿度も違うわけだから、その都度考えていかなければならない」

109ℓ・7.1℃の酒母に、85kg・7.5℃の麹を加える。ここに105ℓの水を加えて、最終的に14℃の状態にするには、何℃の水を加えれば良いか…。それで何ℓになった?

日々向上する、酒造りの技術。しかし研究を重ねるほどに「先人たちが積み上げてきたものに、ただただ驚くばかり」といいます。

彼らの誇り高い笑顔を思い出し、幸せに包まれる

これで、私たちの1日は終わりです。
振り返ってみるとなんだか、とても壮大で、神聖な場に立ちあわせていただいたように思います。

とくにお米に触れていると、様々な感情がふつふつと湧いてくるのです。

「これがお酒になるのか…」
「愛おしいなぁ」

どんなに技術が発達しても、社会が変わっても、”この温度”を忘れるようなことがあってはならない。それは今も昔も、きっと変わらないもの。これからも繋いでいかなければ、と。

「今、色々な酒が造れるようになりました。でも私は一貫して、楽しい酒を造り続けたいと思うんです。飲み飽きしないこともそうですし、晩酌に寄り添って、笑顔の元になるような酒を目指してる。今は様々なニーズがあるから、それに応えることもしていかないと、と感じつつも、根幹にあるのはそういうシンプルな思いです」

そして蔵人が、愛おしそうにお米をあつかい、酒を語る様子が頭を離れないのです。「職人」「ものづくり」という言葉だけでは伝わりきらないものが、間違いなくある。これから日本酒を口にするたびに、彼らの誇り高い笑顔を思い出し、幸せに包まれるに違いありません。

そして私たちだけでなく、みなさんの幸せにも寄り添えるように。今回の挑戦を成功させたいと強く思うのです。

“we really feel we can be a Family”
私たちの友情と、そして”日本で一番の笑顔”に乾杯!

撮影協力:吉田直人